赤裸々に告白!沼津魚河岸食堂街グルメ偏差値
FISH MARKET GOURMET WAR
2014年8月仁義なき魚河岸グルメ戦争
FISH MARKET GOURMET WAR
当店が沼津港魚河岸に創業開店してから、早くも21年。沼津港は激変しました。飲食店ゾーンは拡張を重ね、店は乱立し、先週新店がオープンしたかと思うと、今週はまたひとつお店が閉店撤退する。血を血で洗う弱肉強食のサバンナの如きグルメ戦争が、この田舎の漁港を舞台に繰り広げられているのです。
お客様の目的も、変わってきたようです。かつては、ゴルフ帰り、温泉帰り、伊豆の観光地めぐりの後の、「チョイと寄り道」にすぎなかった沼津港というポイントが、なんと「伊豆観光の目的地」になってしまった感があります。おどろきです。野良猫の港町でしかなかったのに、、、
若い人が増えました。店主のわっしが老けたのでみんな若く見える、ということもあるかと思いますが、学生風のグループ&カップルが目立ちます。深海水族館が呼び水になっているようです。(昔は不倫カップルばっかりだったのに、、、、)きれいなお姉さんが一杯で、もう漁師サンダルじゃ恥ずかしくて歩けないかと思っていたら、お姉さんたちもそんなカッコです。(夏は、、、)
「一日じゃ回りきれないね」「来るたびにお店が増えて、ディズニーランドみたい、、、」「食べた後に、おいしそうな店が見つかるのね」なんて会話が聞こえてきます。そうです。そうなんです。
■どうやって店を探せばいいんだ~?!
残念ながら、この沼津港には「公式ガイドブック」のようなモノはありません。クチコミと、みなさまの嗅覚だけが頼りです。全体的にかなり水準は高いですが、でも、当たりハズレは、あります。
「いつも同じ店ばっかりじゃつまんないしなー」もっともです。
「新しい店もよさそーじゃん」その通りです。いい店が増えました。
「でも、せっかくここまで来て、外れると嫌だしー」ご心配にも、うなずきます。さてさて、、、
そこで、ここで地元民を(勝手に)代表して、沼津港の傾向と対策を、ちっくらお話ししてみたいと思います。
ここで、お復習いしておくと、
そもそも、沼津港といえば、、、
不思議な行列の出来る店 「丸天」
東京よりも江戸前らしい 「双葉寿司」
トンカツ&刺身を常識にした 「にし与」
ひなびた感じが港町旅情を誘った 「いわしの磯はる」
早朝からやっているあの店 「むすび屋」
あたりが、間違いのない老舗で、「千本一」や「かもめ丸」は、そのおこぼれでメシ食っている状態だったのですが、時代は変わりました。
■専門化と低価格化の怒濤の嵐
沼津港が拡大し、新規参入が雨後の竹の子状態で、どんどん店が増え、しのぎを削る激烈な店舗間戦争が巻き起こるなかで、大きく、ふたつの潮流が、沼津港に押し寄せてきたのです。
ひとつに専門店化です。
うなぎの「梅や」「京丸うなぎ」
どんぶり専門の「どんむす」「ふみ野」
ハワイ風海鮮料理の「トニーズ」
高足カニも食べられるカニ専門の「かに屋」
さらには、水族館周辺は専門店だらけで、
天ぷらと串揚げの「虎てん」
海鮮バーベキューの「浜焼きしんちゃん」
なんとバーガーショップの「沼津バーガー」
加えて、今年(2014年)になって、
牡蠣の獲れない沼津に「カキ小屋」
職人が毎朝仕込むらしい「しらす漁船」なる店も出現
すごいですねー。まだまだあります、、、
そしてもうひとつの傾向が低価格化、です。
相次ぐ、回転寿司屋さんのオープン。低価格海鮮どんぶりを打ち出すお店の乱立。1000円を目安にする低価格魚河岸風定食のバラエティー。どこもお値打ち充分です。さらに、立ち食い狙いの屋台風「出店」もいろいろ「はんぺん」「卵焼き」「魚介揚げ」etc.出始めて、迷いながらつまみ食いしていたら満腹になりそうな、ダイエット危険地帯、メタボ地雷炸裂区域と化しているのが、昨今の沼津港です。
■だけど料理屋は、多くない
これほどお店が増え続けているなかで、でもいっこうに増えないジャンルがあります。それは、料理屋です。
『和食が世界無形文化遺産』となった今日、富士山と和食で、沼津港は世界の頂点に君臨してもいいはず(?)ですが、なかなか一筋縄ではいかないところが浮き世の習いです。
高級和食店の需要が多い大都市ではともかく、田舎の地方都市で板前職人が生きていくのはたいへんな時代です。かつてはホテル旅館がその人材を引き受け、育成し、十分に食わせていましたが、今はホテルもバイキング料理、板前不要の調理済み食材活用です。この20年間でわっしが見てきたのは、多くの腕ある板前たちが安居酒屋チェーンに放出され、捨てられていった「渡り崩壊」の現実です。
そんななかで、沼津港に後発でお店を出店し、「よそより高くはできねぇ。安いメニューで客をひけ」というお店が、職人さんの本来の技を発揮させるのは、チト無理が、、、、、。さらに、専門化が主流なら、板さんのいらない「載っけるだけ丼」や「セルフスタイル」でやれば一挙両得。なんて考えるオーナーさんがいてもおかしくないですね。
なので、料理店は増えないのです。(もちろん、寿司店や鰻店など専門職人が活躍するお店は多くありますが、和食割烹料理店はね、、、)
■魚河岸割烹料理店の看板掲げ
そういったわけで、実は、うちの店「さかなや千本一&かもめ丸」は、案外、不動の(ニッチな?)位置に立脚し、もともと低価格だったメニュー価格は、今では他店と比べるとフツー水準ですが、伊豆箱根の観光地のなかでは、やはり変わらず「ピチピチ新鮮! 安くてうまい!」なので、おかげさまでリピートのお客様で、まずまず繁盛させていただいております。ありがとうございます。
なんの代わり映えもない、いつもと変わらない。でも、季節ごとの旨さがあって、新鮮な素材の旨さを、そのまま、(仕込みは丁寧に)ご提供する。和食であたりまえな出汁をつかって、塩、酢、醤油、みりん、ごくごくシンプルな調味料で、味を調えていく。
日本人なら誰もが昔から親しんできた季節の魚介料理。日本のお母さんなら誰でも昔は手作りできた「和食」を、しっかり修行を積んだ職人が、
チトばかり丁寧に、
そして繊細に、
でも魚河岸だから豪快に、
そんな料理をお出しし続けているのが当店です。
新店に魅力一杯の沼津港。
でも、浮気の合間(!)に、ぜひ当店にお立ち帰り下さいませ!
2001年4月でも実はウチの店NO.1じゃないんです!?
WE NOT A SOHP IN THE INNER NO.1!?
■有名店いっぱいの魚河岸食堂街
沼津港魚河岸食堂街には、
当店「さかなや千本一」以外にも、有名店がいっぱい。
たとえば、いつも行列ができる不思議な店「丸天」
回転寿司の地元チェーン店の雄「魚河岸寿司」
テレビでよく紹介される親父の「魚魚丸」
旅行ガイド書によく載っている「いわしの磯はる」
なんてったって老舗のブランド「双葉寿司」をはじめとして
各店がそれぞれ持ち味を生かしてしのぎを削っているグルメ・ゾーンです。そんな中で、当店こそ輝かしい「No.1」と胸を張りたいところですが、実はそう簡単じゃありません。(汗)
判断基準によるのはもちろんですが、もっとも客観的といえる尺度として、「賑わい度」でみてみると、夜はともかく(「昼」と「夜」の違いについては後述します)昼間、特に週末の土曜日、日曜日の賑わいようといったら恐ろしいものですが、そんな中でも、当店はけっして「No.1」ではないのです。(驚)
「丸天」や「魚河岸寿司」そして「魚魚丸」がベストスリーで、賑わい度ランキングでは、当店は後塵を拝しておるのです。(涙)
「ピチピチ新鮮 安くてウマイ!!」は当店の自慢で、けしてウソ偽りはないのですが、土日の昼間は、他の有名店が「満席」になってから、当店にお客様が流れてくるというトホホに情けない実態があるのでちゅー。(激涙)
何故か?
それは、当店が「一見(いちげん)客」受けしないからでえぇーす。つまり?
当店「さかなや千本一」の店がまえは、なんだか「魚河岸風」とはいえないので、初めてのお客様に敬遠されてしまうんでしゅう。困っちゃぶー。
言い訳すんなあー(怒)
言い訳じゃないのです。
詳しく言うと、「沼津港魚河岸」の食事に来る人には、ある「イメージ」があるのです。その「イメージ」に、当店は、そぐわないんです。
■沼津港食堂街の「イメージ」(?)
あなたは、「沼津の港に飯でも喰いに行くかー」と言うとき、
どんな「イメージ」を持ちますか?
「うーーん、沼津というと、「沼」がつくくらい田舎で泥臭イメージだから、ヤッパさ、長靴履いたオッサンとかさ、鼻水タラしたガキが、信じらんねーくらい安い寿司とか、ブツ切りにした刺身だとか、ガツガツ喰ってんじゃねーの?」
「ヤッパ寿司じゃん。身のデカいヤツ。あと、カニとかサー。アタシ、ウニ丼でもいいよ。」
「なに言ってんの。沼津はアジの干物でしょう。アジの干物においしいご飯と静岡茶よ。」
ムーーーー。(沈黙)
確かに、これらの意見は間違っておりません。正しい。沼津はそのとおり。
沼津は、ガツガツ食べる街なのです。でも、でも、でも。
でも、「さかなや千本一」はちょっと雰囲気が違うのです。
ちょっと、「高級ぽい」というか、「サンダルじゃ入りにくい」というか、何か、他の店とは違うのです。
しかも、ウチの店は「握りの寿司はやりません」
「みそ汁が薄い? そりゃ、ウチは天然出汁ですから、うまみ調味料の味はしませんよ」「生しらすが売り切れじゃ困る? そりゃ、ウチは冷凍物は出しませんから、いつでもどうぞ、という訳には参りません。」とかなんとか。
■本当に、 魚が好きな人が来て下さる
つまり、「さかなや千本一」は「料理屋」なのです。
「寿司屋」でも、「定食屋」でも、「丼物屋」でもなく、
キチンと、日本料理の修業を積んだ板前が腕を振るう、「鮮魚料理店」なのです。
だけどーーー。だけど、その存在は、けして、沼津魚市場食堂街の立地にバッチグーとは、残念ながら、言えないのです。
その結果!
当店の「お客様アンケート」を集計しても、まず群を抜いて多い「来店動機」は、「知人の紹介」です。「通りがかり」で来店されるお客様は、きわめて少ない、のです。
そして、「知人の紹介」でご来店されたお客様が、気に入って、その後何度もまたご来店される、というパターンが、大変多いのです。
ムーーーーー。(悩)
だから、夜のお客様には、強いのです。
「夕飯」に、「寿司だけ」や「定食」や「丼モノ」じゃ、やはり寂しいということもありますが、
「落ち着いてお食事するなら、千本一、がいいね」とおっしゃって下さるお客様が大変多いのです。ありがたいことです。(合掌)
■つまり、「うまい魚天国」なのだ!
「寿司屋」には、「寿司ネタ」しかありません。
「定食屋」には、「なじみの魚」しかありません。
「いわし屋」には、「イワシ」しかありません。
さかなや千本一には、あなたが今まで食べたことのないような、「変わった魚」がいます。
でも、実は「変わった魚」と思っても、漁師さんには「当たり前」の「うまい魚」です。
「マグロ」だって、「生の近海マグロ」です。
「トロちょーだい」というのが癖のあなたは、都会っ子。
マル(一匹丸ごと)のまま仕入れて、おろしたばかりの「近海生マグロ」淡麗な甘さといったら、これは、たとえ1キロ、ン万円の高級マグロのトロ身だってかないません。(と僕は思います。)
都会の高級店にもやはり、「変わった魚」をウリにした店があるでしょう。
でも、全席250席の当店で、ガンガン売りさばく魚種のバラエティーには、けっしてかなわないでしょう。そして、もちろん、その安さにも。
さあ!
なじみの魚を「ガツガツ」食べるのも、沼津流ですが、
「うまい魚」に、いろいろチャレンジできるのも、沼津流ならではです。
あなたは、どちらを選びますか?